中小企業にぴったり！特許事務所の探し方とは？

中小企業にとって、特許取得や権利管理は困難な課題です。その課題を解決するためには、自身に合った特許事務所に依頼することが重要です。それを見極めるための手がかりとして、先ず、小規模特許事務所のメリットを説明します。まず、コスト面でのメリットがあります。小規模事務所は大手事務所と比較し、費用が安価な場合が多く、中小企業にとって抑えられたコストで特許権や商標権等が取得できるのは大きなメリットです。また、小規模事務所では、中小企業の事情に通じ、親身になってサポートしてくれることがあります。大手事務所ではある意味流れ作業的な業務が行われるのに対して、小規模事務所では、大手事務所ではなかなか叶わないような、自社に合った最適な方法を提案いただける場合があります。また、大手事務所では、法域毎に担当が分かれているために、複数の法域を同時にすることが難しいのに対して、小規模事務所では、複数法域の相談を一度に行えるというメリットもあります。さらに、小規模事務所では、アフターケアも大手に比べ充実しており、取得後の継続的なサポートが期待できます。

一方、大手特許事務所にも当然ながらメリットがあります。 まず第一に、スタッフの多さからくるメリットです。大手特許事務所は弁理士を含め多くのスタッフを抱えているため、小規模特許事務所と比較して出願等の実績が豊富で、弁理士等の専門的知識の分野も多岐にわたります。また、産業財産権の取得や訴訟は事業にとって重要であるため、それらの手続きの代理を依頼する特許事務所には信頼性が重要です。特許事務所の信頼性はその規模によって決まるとは一概には言えませんが、大手特許事務所は多くの代理を依頼されているためにその規模を維持できているのであり、一定程度の信頼性は担保されていると考えられます。

上述したように、小規模特許事務所にも大手特許事務所にもそれぞれ異なったメリットがあります。では、中小企業をはじめとする小規模事業者にとって、どのような特許事務所に依頼するのがよいでしょうか。それには、先ず自社が特許事務所に対してどのようなサービスの提供を依頼したいのかを明確にすることが重要です。日本のみの出願を行うのか、海外出願も行うのか、出願前の発明の発掘等のサポートや権利化後のサポートも希望するのか、等です。当然、規模にかかわらず特許事務所であれば日本国内での出願や主要な海外への出願手続きは行なえます。しかしながら、日本からあまり出願数が多くない国への出願であれば、一般的には大手特許事務所の方が適していると考えられます。一方、発明の発掘や権利化後のサポートについては、大手特許事務所よりも小規模特許事務所の方が親身になって対応してくれる場合が多いと考えられます。また、費用面も重要な観点の一つです。知財関連予算と希望するサービスとを比較衡量し、それに合った事務所を選択することが重要です。さらに別の観点として技術分野があります。特許出願書類を作成するためには、その技術分野の専門知識が必要となります。特に、バイオ，化学，ソフトウェア等の分野については、その要求が顕著になります。したがって、自社が出願等を予定している技術分野の専門知識を持った弁理士が在籍しているかを確認する必要があります。これは、ホームページ等でも確認できますし、想定している技術分野の対応が可能かを問い合わせるのも良いでしょう。

特許事務所を選ぶ際には、自社のニーズに合った業務を予算に即して提供できるかどうかを重視することが必要です。そのため、それぞれの事業者の事情によって適切な特許事務所は異なります。しかし、敢えて特許事務所の規模について言えば、特に知財部を持たない中小企業にとっては、費用面やきめ細かい対応が期待できる小規模特許事務所が適していると言えます。また、同じ小規模特許事務所であっても技術分野の違いや対応の違いがありますので、これらを確認してから依頼することは重要です。

以上の点を踏まえ、中小企業が適切な特許事務所を選ぶことができれば、事業の成功の助けとなるでしょう。